「エンジンオイルは全合成油を選んでおけば間違いない」
そう思っている方は少なくありません。
確かに全合成油は高性能なオイルが多く、価格も高めです。 しかし「全合成油であること」と「そのエンジンに適していること」は別問題です。
本当に重要なのは、オイルの規格がそのエンジンの設計思想に合っているかどうか。 このページでは、「なぜ全合成油だけでは不十分なのか?」を整理します。
全合成油・部分合成油・鉱物油の違いとは?
エンジンオイルは主に、以下のように分類されます。
- 鉱物油:原油を精製したベースオイル
- 部分合成油:鉱物油+合成油をブレンド
- 全合成油:化学合成されたベースオイル
一般的には「鉱物油 < 部分合成油 < 全合成油」というイメージが持たれがちですが、 これはベースオイルの話に過ぎません。
実際のエンジン保護性能や燃費性能は、 ベースオイルよりも添加剤設計と規格適合によって大きく左右されます。
なぜ「全合成油ならOK」は危険なのか
極端な話をすると、以下のようなケースは珍しくありません。
- 全合成油だが、指定規格を満たしていない
- 油膜重視の欧州規格で、燃費が悪化
- 最新エンジンに旧世代規格の高級オイルを使用
これらはすべて「全合成油=安心」という思い込みが原因です。
エンジンオイル規格が担っている役割
エンジンオイルの規格は、 「この条件を満たしていないオイルは使わないでください」 という最低限の安全基準です。
代表的なものには以下があります。
- API:エンジン保護・耐摩耗・LSPI対策など
- ILSAC:燃費性能・省燃費設計向け(主に日本車)
- ACEA:高負荷・高速巡航向け(主に欧州車)
これらは単なるラベルではなく、 エンジン設計とセットで決められている前提条件です。
優先順位は「規格 → 粘度 → 基油」
オイル選びの優先順位を整理すると、以下の順になります。
- メーカー指定の規格を満たしているか
- 指定粘度(例:0W-16、0W-20など)
- 基油の種類(全合成・部分合成など)
規格を満たしていない全合成油より、 規格適合の部分合成油の方が安全なケースは多々あります。
こんな人ほど「規格」を見るべき
- 燃費を重視したい
- 短距離走行・街乗りが多い
- 最新世代エンジンに乗っている
- できるだけ長く乗りたい
これらに当てはまる場合、 オイルの価格や「全合成」という言葉よりも、 規格適合を最優先で選ぶ方が結果的に合理的です。